待てずに読mblr

Apr 27 2009

スティーブン・ウォーカー「ナガサキ―忘れられた爆弾」

スティーブン・ウォーカー「カウントダウン・ヒロシマ」(横山啓明訳・早川書房 )
原書ペーパーバック版の付録エッセイより。本文ではくわしく書かれなかった長崎への原爆投下について、元乗員へのインタビューをもとに再現している。以下はその最後の部分の抜粋。

長崎への原爆投下は視界不良のため難航し、ようやくの投下後、B29爆撃機「ボックスカー」は燃料がぎりぎりの状態での帰還を余儀なくされる。

 多く見積もっても、一回の着陸動作にかろうじて足りるだけの燃料しか残っていなかった。スウィーニーは使える救難信号を全部点火するよう命じた。発煙信号はスピッツァーいわく「独立記念日のお祝いみたいに」あらゆる色でどっと噴き出し、それぞれの色が別々の緊急事態を知らせていた。「負傷者あり」、「重篤な損傷」、「機に火災発生」。火薬のきつい臭いがコックピットに充満する。スウィーニーが機を滑走路へと向ける最中、第二エンジンが咳き込み、停止した。

 機は高速ではげしく滑走路に叩きつけられた。60トンあまりの肉体と金属がコンクリートの上で鋭い悲鳴をあげた。機体は乱暴に左へ振れ、駐機している爆撃機の列に突っ込みそうになる。ふたりのパイロットはどちらも全体重をブレーキにのせ、プロペラを逆回転に叩き込んだ。巨大な爆撃機はようやく速度を落としはじめ、滑走路の終端ぎりぎりで停止した。救急車と消防車が機にむかって疾走する。ドアが開き、男が機内に首をつっこんだ。
「死傷者はどこだ?」
 疲れきったスウィーニーは北の方、長崎のある方角を顎で示した。
「あっちだよ」

 一ヶ月後、ドン・オルバリーをはじめとするボックスカーとエノラ・ゲイの乗員たちは長崎へ飛んでいた。彼らが長崎の地に足を踏み入れた最初のアメリカ人になったのだ。眼前の光景はオルバリーを打ちのめした。あまりにとてつもない破壊の規模だった。
「壊滅状態だった」とオルバリーは語る。
「立っていたのはコンクリートのビルが数軒だけだった。死体は見あたらなかったが、一軒の病院で見た。外の地面に並べられてたよ」
 オルバリーはしばし言葉をきり、窓の外に顔をむけた。重苦しささえ感じさせる沈黙のあと、ようやく彼はこちらに向きなおった。
「戦争がおわったのが、ただただ嬉しかった」
 とても小さな声でそう言った。
「どういうふうに始まったかなんてどうでもよかった。とにかく家に帰りたかった」

Stephen Walker on Nagasaki — the Forgotten Bomb

from Shockwave : Countdown to Hiroshima    Harper Perennial 2006

Jan 10 2009

オクタヴィア・E・バトラー「種まく者の寓話」


All that you touch
You Change.

All that you change
Changes you.

The only lasting truth
Is Change.

God
Is Change.

EARTHSEED:THE BOOKS OF LIVING

——

汝の触れるものすべて
汝が変える。

汝の変えるものすべて
汝を変える。

変わらぬ唯一の真実は
変化なり。

神は
変化なり。

アースシード:生きることの書

“Parable Of The Sower” by Octavia E. Butler

ディストピアに変貌した世界で、「変化」を神とみなし、最終目的は人類の宇宙への植民(播種)であるとする独自の宗教を作り上げ、それを支えに生き延びていこうとする十代の黒人少女の果てしない苦難の物語。続編「Parable Of The Talents」共々、超ヘヴィな傑作。

+

ジョン・ヴァーリイ「The John Varley Reader」序文


2002年1月20日、午後2時30分、火が出たのはオレゴン州バーモント、SE11番街と10番街との間の2ブロックを占めていた、もう使われていなかった青果市場と倉庫からだった。消防が駆けつけたころにはもう近隣の建物に火が広がるのを防ごうとするので精一杯。半時間もしないうちに第4度の警報が発せられ、火災のピーク時には125人が現場に加わっていた。やがて火は倉庫の北の端にたどりつき、その隣接のビルにはモンテカルロ・レストランが入っていて、リーとぼくが愉しい数年間を過ごしてきたのはその上にあった二つの素晴らしいアパートの片方だった。
かつて自分が家と呼んでいた場所の中身を失った残骸を眺めるのは、とても奇妙なものだ。

禍福はあざなえる縄のごとしというやつで、モンテカルロは住処としてはじつに素敵なところだったのだ。クールさの10段階評価でいうと、リーベンワース刑務所が1、サン・シメノンが10、トラヴィス・マッギーのハウスボート「バステッド・フラッシュ」号が9、対してモンテカルロは8だ。

8レベルの場所に住むことが生涯ないままの人も多いのに、ぼくは3回も住んだことがある。最初のそれはサンフランシスコのハイト・ストリート、世界の中心からほんの1ブロック半。そこからハイト&アシュベリーの看板が見えそうなくらいの場所だ。道の向かいにはヘッド・ショップ、上の階には悪名高い麻薬窟があって、一度ジャニス・ジョプリンが買いにいくのを見たことがある。そして角にあったのはマグノリア・サンダープッシー、たぶんアメリカでいちばんクールなアイスクリーム・パーラーだ。 あの場所に1年住めたのはとても幸運だったと思う。あの頃ぼくらがいろんなドラッグを摂っていたことを思えば、それで死なずに済んだことも。
いろんなことでぼくは幸運に恵まれてきた。

introduction to “The John Varley Reader” (ACE, 2004)


2年前に自宅が火事で焼けた話で序文が始まる、ジョン・ヴァーリイのベスト短編集。

+

ブルース・スターリングの短編に登場する実在の本:「ルールズ」


対照的に、「ルールズ」は、すさまじく真剣に書かれた本だった。この惑星で多数を占める性にとっての、生きるか死ぬかの感情的局面における戦略を語っている。「ルールズ」は、辛辣で、深刻で、いかなる感傷とも無縁のものだ。これは、女性が、自分たちを良心の呵責なく搾取して容易にぶちのめすことのできる大きくて凶暴な半盲の生き物の群れの中で、子供たちを守り、生き延びてゆくことについての書物なのだ。この本に書かれていることのほとんどすべてが強烈にヴァン(*主人公の男)の腑に落ちた。ただの自己啓発書なんかじゃない、こいつは、要はオペレーティング・システムなんだ。この作品がヴァンの想像力に火をつけ、人生設計を白紙に戻した。

-

The Rules, by contrast, was a work of deadly seriousness. It was about life-and-death emotional survival tactics for the planet’s majority gender. The Rules was bitter, life-and-death, stripped of all sentimentality. It was about surviving, and protecting children, among a race of large, brutal, halfblind creatures who would exploit you without conscience and could easily beat you to a pulp. Most everything in The Rules made plenty of sense to Van. The thing was more than a selfhelp book: basically, it was an operating system. The work fired his imagination and reset his agenda.

“CODE” by Bruce Sterling


“CODE” は現代のIT企業を舞台にした短編で、現代社会の日常描写が過去の目にはいかにSF的であるかを示しつつ、ギーク男とサブカル女の恋を我が事のようなリアリティで描く佳作。

「THE RULES―理想の男性と結婚するための35の法則」
The Rules: Time-Tested Secrets for Capturing the Heart of Mr. Right by Ellen Fein Sherrie Schneider

Jan 08 2009

ジャック・ウォマック 「耳をかたむける者」

-

その仮構性にもかかわらず、一千ものとるに足らぬ荷馬車が押し寄せてくる衝撃音にわたしはうろたえて、それらが通り過ぎるたびに身をすくめ、まぼろしと知りつつその突撃をかわそうとせずにはいられなかった。想像力の助けを借りずとも、活を入れんと鞭をうち下ろされるたびに馬たちが上げるいななきの声が聞こえてくる。積み荷のきしむ音より高く、乗り手たちの罵りあう声が響く。音響学についてなにか言えるほどの知識は無いが、どんな録音会社にもこれほどの大騒乱を作り出す技術はないだろうと思えた。なにか精妙な技によって、管理人の頭蓋に反響している音を彼が聞くそのままにこちらも聞かされているのではないかと思えてくる。おそらくそれは彼の仕掛けたからくりなのだろう。それとも、からくりだとわたしが信じるように仕向けているのか。ひたすらに慈しみ続けることによって彼自身とはほとんど別個の存在にまでなったみずからの追憶を、思いのままに取り出してみせることを。それによって、ふさわしい聴衆は、倒れた木はたしかに存在しただけでなく、それが倒れる時にたてた音が森の中に永遠に響き渡るであろうことを保証され、心満たされるのだろう。
「なぜ国を離れなければいけなかったんですか」
わたしは訊いた。
「妻が去りましたので」と管理人。
「留まっておるべきだったのでしょうが。さあ、こちらへ」

——

However chimerical its nature, the crash of a thousand inessential wagons
hurtling toward us so unnerved me that with each pass I frinched, attempting
to avoid an onslaught I knew was evanescent. Without benefit of imagination,
I heard horses neighing when whips cracked against their withers; drivers shout-
ing out curses over the groan of their loads. I pretend no understanding of
sonology, but I thought it impossible that any phonographic agency could so
truly reproduce such pandemonium; I felt that through some subtle technique,
I heard those sounds exactly as he did when they ricocheted off the walls of his
skull. Possibly that was his trick, or what he wished me to believe was his trick
that he drew from his mind at command recollections so assiduously cherished
as to have developed an alternate existence, nearly independent of his own. A
suitable audience could be therefore gratified, assured that not only had there
been a tree which fell, but that the sound it made upon falling would echo
through its forest unto eternity.
“Why did you have to leave your country?” I asked.
“She left me,” he said. “I should have preferred to stay. Come along, now.”

“Audience” by Jack Womack

+

The Books 「マップス氏の動画による解説」

-

彼は赤を見る、だが心には五が浮かぶ。
数と色の共感覚によって
道行きの奥行きが拡がったことを喜ぶ。
「たのもしい我がロシナンテは
でこぼこ道を快調に走り、
ドーナツとチキン・テンダースの
なじみぶかい芳香を砂漠の空気に
漂わせていった」

数マイルを走り過ぎながら、マップス氏は
ドン・キホーテのごとき愚かしさで
失われた子供時代を呼び戻そうとする。
あまりにも大音声なために
聞き取りようのない何かに
彼は巻き込まれ、からめ取られていた。
「私がすべてのアメリカ人に理解してほしいのは
アメリカ人がどうしても理解できずにいることは
理解できるということだ」

——

He saw red, but he thought five.
He was pleased to find his road trip was enhanced by number-color synesthesia:
‘My trusty Rosinante bounds along the road very well, leaving the friendly aroma of donuts and
chicken tenders hanging in the desert air.’

He willed away the miles while quixotically attempting to reclaim his inner child,
he was embrangled and enmeshed in something far too loud to comprehend:
‘I want all of the American people to understand that it is
understandable that the American
people cannot possibly understand.’

“An Animated Description of Mr. Maps” by The Books

-

The Books の3枚目のアルバムは、曲中の歌詞とサンプルされた人の喋りが全て残らずブックレットに書き出されて一冊の本のような体裁になっており、「こんなに読まれたがっている The Books は初めてだ!」と思ったものですが、それまでの韜晦の姿勢をかなぐりすてたかのような強いメッセージ性(というか「読まれたがってる」感というか)が感じられるのに、いくら読んでも聴いてもさっぱり意味がわかりませんでした。単に自分に教養が足りない、ということのような気がします

+

オクタヴィア・E・バトラー 「フューラー・スクリベンディ(猛然と書け)」(抜粋)

出版物になるものを書くことは、あなたにとって最もたやすいことと、最も難しいことの、両方になりうる。ルールを学ぶこと――もしそれらをルールと呼べるなら――は簡単だ。それらを守ること、日常の習慣に変えることは、連綿と続く闘いだ。ルールは以下の通り。

1.読みなさい。作文の技法について、手法について、そしてビジネスについて書かれたものを読みなさい。あなたが書きたいタイプの作品を読みなさい。いい文学と悪い文学を読み、フィクションとノンフィクションを読みなさい。毎日読み、読んだものから学びなさい。 (……)

2.講義を受け、作家のワークショップへ行きなさい。書くことはコミュニケーションである。あなたが自分をどう見ているかを伝えられているかどうか、そしてそれを、わかりやすくて楽しめるだけでなく、説得力のある形でできているか、他人に教えてもらう必要がある。言いかえれば、いい物語を語れているか、知る必要がある。 (……) ワークショップや創作教室はあなたの作品のためのレンタルの読者――レンタルの聴衆――だ。教師と受講生の両方からコメントや質問や示唆をうけとり、そこから学びなさい。あなたの気持ちや機嫌を気づかってしまいそうな友人や家族よりも、作品についての本当のことを教えてくれる見込みが大きいからだ。 (……)

3.書きなさい。毎日書きなさい。書きたいときもそうでないときも書きなさい。毎日書く時間を決めておきなさい。一時間早く起きたり、一時間遅く寝たり、楽しみのための時間を一時間犠牲にしたり、昼食の時間をそれに充ててもいい。自分の書きたいジャンルのことをなにも考えられなかったら、日々の記録をつけなさい。いずれにせよ日記はつけておくべきだ。日記を書くことは、世界に対する観察眼を研ぎすませる助けになる。後々のプロジェクトのためのアイデアを蓄えておくのにも日記はいい場所だ。

4.自分にできる最良のものになるまで、書き直しなさい。読書、作文、講義のすべてがその助けになるはずだ。書き方、調査法(調査を決して怠ってはならない)、そして原稿そのものの見た目を検分しなさい。基準に満たないものはなにひとつ見逃さないこと。直さなければいけない所を見つけたら、直しなさい。言い訳は無用。あなたが見つけられない間違いがたくさんあるのだ。自分の目に明らかな瑕を見過ごす過ちを犯してはいけない。「こんなのは大した問題じゃない、これで充分」、そう自分に言い聞かせているのに気付いたら、止めなさい。戻って、直しなさい。再善をつくすことを習慣づけなさい。

5.出版社に作品を送りなさい。始めにあなたが興味を持っているマーケットを調査しなさい。あなたが売り込みたい出版社の本や雑誌を探して、研究しなさい。それから作品を送りなさい。もしそうすることが恐かったら、よろしい、存分に怖じ気づきなさい。でも作品は送ること。不採用になったら、また送りなさい。何度も送りなさい。没にされるのは辛いけれど、避けることはできない。それはすべての作家が経験する通過儀礼なのだ。 (……)

6.つまづきの原因にならぬよう、忘れてしまうべきことがいくつかある。
まず、ひらめきのことは忘れなさい。習慣のほうが重要だ。ひらめきのあるなしに関わらず、習慣があなたを続けさせる。習慣はあなたの物語を完成させて磨き上げる助けになってくれる。ひらめきはそうではない。習慣とは鍛錬の持続である。
才能
のことを忘れなさい。もしあるなら、よろしい。使いなさい。もしなくても、問題ではない。習慣はひらめきよりも信頼できるし、学び続けることのほうが才能よりも頼りになる。驕りや怠慢に、学習や、作品の向上や、必要に際しての方向転換を妨げさせてはいけない。持続することがどんな作家にも必要不可欠なのだ――作品を完成させるために、没にもめげず書き続けるために、読むため、学ぶため、作品を売り込んでゆくために。だが頑固さは、すなわち非生産的な習慣を変えたり、売り込めなかった作品を書き直すことを拒むことは、作家になるという望みにとって命取りになりうる。
そして最後に、想像力のことを心配するのはやめなさい。あなたには必要な想像力がちゃんとあるし、これからの読書経験も、作文経験も、学習の結果も、すべてが刺激になる。アイデアとたわむれなさい。アイデアを楽しみなさい。それが愚かだったり、大げさだったり、間違っていたりしても気にしないこと。書くことの大部分は楽しみなのだ。楽しみがまずあなたの注意をひき、それから想像力がどこへでもあなたを連れていってくれる。これが出来るようになれば、あなたには使い切れないほどのアイデアが手に入る。そして、それらを物語へ作り上げてゆく本当の仕事が始まる。そこに踏みとどまりなさい。
続けてゆきなさい。

-

Writing for publication may be both the easiest and the
hardest thing you’ll ever do. Learning the rules—if
they can be called rules—is the easy part. Following them,
turning them into regular habits, is an ongoing struggle. Here
are the rules:

1. Read. Read about the art, the craft, and the business
of writing. Read the kind of work you’d like to write. Read
good literature and bad, fiction and fact. Read every day and
learn from what you read. (…)

2. Take classes and go to writers’ workshops. Writing is
communication. You need other people to let you know
whether you’re communicating what you think you are and
whether you’re doing it in ways that are not only accessible
and entertaining, but as compelling as you can make them. In
other words, you need to know that you’re telling a good story.
You want to be the writer who keeps readers up late at night,
not the one who drives them off to watch television.
Workshops and classes are rented readers—rented audi-
ences—for your work. Learn from the comments, questions,
and suggestions of both the teacher and the class. These rela-
tive strangers are morc likely to tell you the truth about your
work than are your friends and family who may not want to
hurt or ofllend you. (…)

3. Write. Write every day. Write whether you feel like
writing or not. Choose a time of day Perhaps you can get up
an hour earlier, stay up an hour later, give up an hour of recre-
ation, or even give up your lunch hour. If you can’t think of
anything in your chosen genre, keep a journal. You should be
keeping one anyway. Journal writing helps you to be more
observant of your world, and a journal is a good place to store
story ideas for later projects.

4. Revise your writing until it’s as good as you can make
it. All the reading, the writing, and the classes should help you
do this. Check your writing, your research (never neglect your
research), and the physical appearance of your manuscript. Let
nothing substandard slip through. If you notice something
that needs fixing, fix it, no excuses. There will be plenry that’s
wrong that you won’t catch. Don’t make the mistake of ignor-
ing flaws that are obvious to you. The moment you find your-
selfsaying, “This doesn’t matter. It’s good enough.” Stop. Go
back. Fix the flaw. Make a habit of doing your best.

5. Submit your work for publication. First research the
markets that interest you. Seek out and study the books or
magazines of publishers to whom you want to sell. Then sub-
mit your work. If the idea of doing this scares you, fine. Go
ahead and be afraid. But send your work out anyway. If it’s
rejected, send it out again, and again. Relections are painful,
but inevitable. They’re every writer’s rite of passage. (…)

6. Here are some potential impediments for you to for-
get about:
First forget inspiration. Habit is more dependable. Habit
will sustain you whether you’re inspired or not. Habit will help
you finish and polish your stories. Inspiration won’t. Habit is
persistence in practice.
Forget talent. If you have it, fine. Use it. If you don’t have
it, it doesn’t matter. As habit is more dependable than inspira-
tion, continued learning is more dependable than talent.
Never let pride or laziness prevent you from learning, improv-
ing your work, changing its direction when necessary.
Persistence is essential to any writer—the persistence to finish
your work, to keep writing in spite of rejection, to keep read-
ing, studying, submitting work for sale. But stubbornness, the
refusal to change unproductive behavior or to revise unsalable
work can be lethal to your writing hopes.
Finally, don’t worry about imagination. You have al1 the
imagination you need, and all the reading, journal writing,
and learning you will be doing will stimulate it. Play with your
ideas. Have fun with them. Don’t worry about being silly or
outrageous or wrong. So much of writing is fun. It’s first let-
ting your interests and your imagination take you anywhere at
all. Once you’re able to do that, you’ll have more ideas than
you can use. Then the real work of fashioning them into a
story begins. Stay with it.
Persist.

“Furor Scribendi” by Octavia E. Butler

from “Bloodchild And Other Stories”

+

「言えやブラッド聞きてえことあんだよ」ブラッドのほうに歩いていきながらジュードがいった。ブラッドといっしょにいた奴らがはなれた。てめえなにいい気んなってこの辺ウロチョロしてんだよってブラッドTが低い声でうなって「ウィーズィどこだ」どっかでビズだろなに取引きしてえんだってブラッドがきいて「なんもねえよウィーズィだよあたしに借りがあんだパクりやがった」あいつをやりゃいいじゃねえかおれはなんも言うこたねえよってブラッドTが言ってイズィちゃん元気?とか言ってでもイズはなんにもしないでただうなずいてチェーンをギュッてにぎっただけだった。「トボけてんじゃねえぞブラッドてめえ知ってんだろわかってんぞ」ってジュードが言った。トボけてねえって知らねえって。なあネエさんたちもう新しいスパ公入れたのかよってブラッドTがわたしを見て言った。「るせえ」ってジュードが言った。あたしは入れかえになるってウィーズがいってたのホントだなってブラッドが言った。「もっぺんきくぞ」ってジュードが言った。ウィーズはレバーよりチョリソーが好きだろこいつがどうなんか知りてえよなってブラッドが言ったけどそれからなんにも言わなくなった。ジュードがすばやく動いたからおわるまでわたしは何をしてるのかわかんなかった。ジュードは片手の指をブラッドの鼻の穴につっこんで頭を前にひっぱってもう片方の手でナイフ先を首の横につきつけた。わたしとイズがふたりの前に立ってたからだれにもなにがおこってるのか見えなかった。
「言うか血ィふくかどっちだ」ってジュードが指であいつの鼻をぎゅってつまんでナイフを押し当てたまんまで言った。ブラッドTは子犬みたいにヒャンヒャンないてぴょんぴょん飛んでブーツをじたばたした。「歩くんじゃねえよしゃべれよ」ってジュードが言った。ヨーケイヨーケイヨーケイってブラッドが言った。ジュードが指をはなしてあいつのシャツの前で指をふいた。「ウィーズィはどこウロついてる」ナイフをはずさずにジュードがきいた。今夜は森ってブラッドTが言った。「何すんだ?」マツリだよってブラッドが言った。「だれと?」バッド・コンラッドとウィーズィの男とアロンゾとなんかパクりに行くってってブラッドTが言った。「グラシアス」ってジュードがいってあいつを壁に押しつけた。ブラッドはまえに出てジュードをつかもうとしたっぽいけどそのまえにジュードがスパッとやってブラッドは止まってお腹のシャツが切られたあたりを手でさわった。手をはなしたらそこらへんぜんぶ血まみれになってた。
「つっぱしれ」ふり返ってジュードが言った。わたしたちは134番まで走っていって、うしろからあいつらがわめいてるのが聞こえた。わたしたちの前を走ってたネズミたちが道をあけた。通りの入り口のところで二人の男がわたしたちをつかまえようとしてきたけどイズが一人の顔にチェーンをビシッてやって倒れたところでもう一人も止まった。すごくコーフンして恐いのなんか忘れてたよアンすごかったよ。8番街のところで信号がかわってジュードがわたしたちを追いこした。

——

‘Word me Blood I want knowin’ Jude said walking up to
him, The others he was with walked away. Why you here
slummin? Blood T asked with a deep growly voice. ‘Where
Weezie be?’ Businessin somewhere mama what you aimin to
trade? Blood T asked. ‘Nada no way it Weezie I want cause
she owe me for her thievin.’ Break the girl mama none a my
sayso said Blood T. How’s little Izzie? he asked but Iz didn’t
do anything but nod and hold her chain tight. ‘Don’t string
me Blood I know you know’ Jude said. Not stringin not
knowin. Say girls you get youself a new spic already? Blood
T asked looking at me. ‘Unlip’ Jude said. Guess Weez right
when she say she be replaced Blood T said. ‘Once more I
ask you’ Jude said. Weez she prefer chorizo to liver I
wonderin how this one feel Blood T said but then
shushed. Jude moved fast and I hardly saw what she was
doing till she’d done it. With one hand she hooked her
fingers into his nose pulling his head forward and with
the other she stuck her knifepoint against the side of his
neck. Me and Iz stood in front of them so no one could see
what was doing.
‘Talk or bleed you decide’ Jude said pinching her fingers
together in his nose and keeping her knife at his neck. Blood
T whimpered like a puppy and hopped up and down
kicking his boots. ‘Talk don’t walk’ Jude said. Yokay yokay
yokay Blood T said. Jude took her fingers out wiping them
on his shirt. ‘Where Weezie roamin?’ Jude asked not mov-
ing her knife. Inwood tonight Blood T said. ‘Doin what?’
Mayhem Blood T said. ‘Who with?’ Bad Conrad and that
boy a hers Aionso they keen to pillage Blood T said,
‘Gracias’ Jude said shoving him against the wall. He
stepped forward as if to grab her but before he could Jude
slashed and he stopped and felt his stomach where his shirt
was cut. When he took his hand away there was blood all
Over lt.
‘Straightaway’ Jude said turning. We ran through the lot
to 134th listening to them scream behind us. Rats ran ahead
of us getting out of our way. At the entrance to the street a
couple ofmen tried to nab us but Iz whipped one in the face
with her chain and the other stopped where the first one
fell. It was so exciting I forgot to be scared Anne it was
amazing. Jude outraced us crossing Eighth Avenue as the
light changed.

“Random Acts Of Senseless Violence” by Jack Womack

主人公(12歳の少女)たちの話し言葉がどんどん奇妙な「未来語」に変貌していくという趣向の小説なので、本当はこういう訳し方ではいけないはずなんですが…

Jan 07 2009

地元のスジ者たちは空気袋のわた抜きを終え、手提げランプの明かりがひしめく中へ積み荷を引きずり出してゆくところだった。スターリツにはパックされた白い粉の汚らわしい重みが嗅ぎ取れた。骨をも撓(たわ)ませるヤクの引力。この世で最も狂おしく探し求められる商品が放射する、万能の存在感。世界観を吹き飛ばすコルダイト火薬。何キログラムもの鋭くとぎすまされたダメージ。現実世界にとつぜん真新しい上塗りが施される。禁断症状の冷たく青い輝きだ。灼熱のスプーンに載せて差し出される恐怖と苦痛のコンシューマー・ゴッド、幾世紀にもわたって議会が、組織が、そして政府が被りかつまたもたらす災い、百万のトイレの個室のなかで交わされる薄汚い契りの数々、針人間どもに虫人間どもに野菜人間ども、20世紀の虚人にとりつくメタルなハイファイ廃人音楽……
——
The local syndicate had disemboweled their bladder
now, and they were dragging the shipment into the
swarming light of handheld lamps. Starlitz could smell the
unholy weight of the packaged white powder; the bone -
warping gravity of smack. The almighty presence of the
world’s most fiercely sought compaodity; Cordite for the
weltanschauung. Whole kilograms of fiercely concen -
trated damage. Reality had a new lacquer on it suddenly;
the cold blue shimmer of junk sickness. The consumer
God of Pain and Fear from the red-hot spoon, scourge of
and from the century’s boards, syndicates and govern -
ments, filthy deals consummated in a million lavatories,
the needle people the insect people the vegetable people,
hi-fi junk note metal fixes on a twentieth-century nod-
out….

“Zeitgeist” by Bruce Sterling

2 notes

+

The Books 「ささやかな憧れが消えてゆく」

イエスとノーは
ただ区別のための違いでしかなく、
だから僕らはその中間をとる。
本を投げだし、気懸りを終わらせよう。
春のセントラル・パークを楽しもう。
僕らの心にはなにもない、
笑い方すら知らない赤子のように。
ひとの恐れることを恐れるなんてナンセンスだと
僕らは知っている、そうだろ?
——-
Yes and no are just distinguished by
distinction, so we choose the in-between.
Give up your books and put an end
to your worries. Enjoy central park in spring.
Our minds are empty, like we’re too young
to know to smile.
We know to fear what others fear
is nonsense, right?

“a little longing goes away” by The Books

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